サーキット走行を繰り返してポイントを見極めよう
今回は、F1カーでサーキットを速く走る為の基本と知識、セッティングまでを筆者なりの思考で解説してみようかと思い、記事にしてみたので是非皆さんも一緒に考えて頂ければと思います。
※尚このページで解説していく内容は、筆者の経験則や、外部から得た情報や知識がほとんどなのですが、今回の目的は、レースシム初心者の方がセッティングにつまずく事なく、よりスムーズにセッティングしていけるように、その概要をわかりやすくまとめた内容となっています。
(セッティングの数値的な内容までは明記してませんのでご了承下さい)
※以上のことを踏まえた上で、読み進めて貰えればと思います。
(きっと後々の手助けになる事でしょう)
さて、サーキットを少しでも速く走るために僕たちが試行錯誤する事といえば、マシンのセッティングかと思います。
(セッティングを変更していく過程で、迷いが出てくる。)=結果わからなくなる。
セッテングに順序があるわけではないですが、ある程度決めておいた方が良いのでその辺りも後述していきたいと思います。
確かにセッティングは重要ですが、それ程のタイムアップが見込めない事に思い悩む事になるかと思います。
では逆に、その車のセッティングを一切弄らず(デフォルトのセッティングのまま)
ラップタイムをコンマ一秒でも削る事にフォーカスした場合、考えられる事といえば。
皆さんも、たいていはこう答えるバズでしょ?バズじゃなく筈でしょ?
冗談はさておき、きっとこう返ってくると思うのですが、それはコースを覚えること。(そうコースを知り尽くすこと)
しっかり観察してサーキットを熟知する事に尽きるかと思います。
現実の世界では、一瞬のミスが大クラッシュとなり、命取りになってしまう事もあるので尚更のことですが、バーチャルなレーシングシム界においても、それは最も重要で欠かせない自分自身に対する課題のひとつになります。
コースを充分に理解した上で、セッティングに力を入れた方が望ましいですし、各サーキットのコーナーには複数の要素がかくれんぼしてると筆者は考えています。
(コーナーに疑問を持つことが大事)
例1:ターンインのタイミングはこの場所でよいのか?
例2:ギリギリまでコーナーのエイペックス(コーナーの頂点)に寄ったほうが速いのか?
例3:クリッピングポイント(コーナーを曲がってる最中に、最も車が内側へ寄った地点)をどこに置けば良いのか?
などになりますが、いずれにしても乗っている車種と、今走っているコーナーの次に、どんな道路が待っているかで、クリップをどの地点に置くかが変わってくるわけですが、走行中のコーナーの次に長ーい直線がある場合などは、クリップ地点をエイペックスより奥側に置いたりします。
奥側にクリップを置くという事は、既にマシンは直線に向けての姿勢をある程度変え終えているので、その分早くコーナーを脱出でき、それと同時にアクセルを全開まで早い段階で踏み込めるので、次に待っている直線でのトップスピードに大きな差が生まれてくる訳です。
※因みにもう1つ重要な要素を述べるとすると、それはタイヤです!タイヤに関しても後述します。
サーキットレイアウトを頭に叩き込もう
イモラ・サーキットは、低中速コーナーが多く、シケインや複合コーナー、ヘアピンなど、様々なコーナーが存在するサーキットになっています。
又道幅が狭い所もあり直線も比較的短いため、オーバーテイクが非常に難しく、そう簡単には追い越しができません。
何が言いたいのかといいますと、このようなサーキットでは予選が重要ということです。
その為のセッテングを一緒に考えていきましょう!
セッテングで予選を勝ち取ろう
そろそろ記事の本題に入っていくわけですが、途中で皆さんが考えてる事とは合致しない場合もあると思いますので、そのような場合は、ご自身のお考えと是非照合してみて読み進めてみて下さい。
1・まず最初にサーキットの特徴を考慮した上でドラッグとダウンフォースを決めていきます
ドラッグ(空気抵抗)とダウンフォース(下向きの力・又は地面に押さえ込む力)の割合を決めなければなりません!
要は、お互いがどれだけ主張しあうのかの割合といえばわかりやすいでしょうか?
尚、この記事の冒頭でご紹介してるのはイモラサーキットですが、他にも条件が似たようなサーキットに、直線が短く追い抜きも超難しく更には低速コーナーばかりで、極端に道幅が狭いモナコグランプリ(モンテカルロ市街地コース)を例にとって話を進めていきたいと思います。
その理由は、あくまで筆者の走行した感覚になりますが、モナコよりは高速で走れますし、道幅も狭い部分も確かにあるのはあるのですが、何より解説の都合上、モナコを例にした方が極端でわかりやすく、説明がしやすいのではと思ったからです。
2・ストレート区間が短く低速コーナーが多い事を考慮すれば最高速はそれ程重要ではない
トップスピードの事は考えずに、とにかくダウンフォースを増やす事に重点を置くようにして下さい。
※イモラの場合は、オーバーテイクできるとすれば、DRSゾーンだと思うのですが、この部分をどう捉えるかが重要になってきます。
トップスピードをどのくらいの割合で活かすのか、完全に無視していいのか?その辺りはマルチプレイなどをする前に、何度かAIと対戦してみて確認してみて下さい。
手段:リアウィングの角度を起こして(立てて)地面に押さえ込む力を優先させるようにします。
結論:先程説明した割合的には空気抵抗を大きくし、極力ダウンフォースが効く状態を作り出します。
3・次に実際に走行してみて全体的なバランスを確認するようにします
おかしなアンダーステアが出てないか?
空力は機能しているのかを、ご自身で運転してみてその感覚を把握するようにして下さい。
おそらくですが、大抵の場合リアウィングだけに調整を入れたりすると、空力のバランスが崩れアンダーが出ると思うのですが、そのような場合には、フロントウイングにも調整を入れて、アンダーが出なくなるまでフロントウイングの最適値を探り、アンダーを打消すようにバランスを整えていきます。
それでも改善されないようなら、リアウィングを調整する前の振り出しの状態に戻るべきなのですが、どうしても戻りたくない場合や、ご自身で設定されたリアウイングの角度に自信がある場合は、重量配分などで荷重をリア側に載せたりして微調整を繰り返していきます。
※特にモナコのように道幅が狭く周囲はガードレールといった場合にはアンダーステアは禁物です。
4・空力バランスの調整が終えたら次は車高やサスペンションを調整していきましょう
次は実際に、車高を調整していくわけですが、筆者の場合毎回この辺りで迷いが生じてしまい、全く思うように走れず、せっかく煮詰めてきたセッティングがダメダメでパーになるなんて事が結構ありました!本当にこの順序で良いのかとか、車高を決めてから空力効率を設定するのではとか。
結局の所、納得できるようなセッティングに出くわしてない為、答えを見つけられずに現在に至っているのが正直な所です。
要するに、車高を調整する段階で様々な要素が絡んでくるので、(スプリングの硬さやアンチロールバーの設定など)筆者の場合つい悪いクセなどが出てしまい弄り倒してしまうのです。
ですので皆さんも筆者のようにならないよう、この記事を参考に、ひとつひとつ段階を踏みつつセッティングを煮詰めていって頂ければと思います。
話を本題に戻す事にします。
次はマシンの車高と、サスペンションをセッティングしていきます。
5・低速コーナーが多く追い抜きが困難なサーキットのフロント車高とサスペンション設定
※ここで説明するサスペンションとは(色々なパーツがある)スプリングのことです。
低速コーナーが多いモナコのようなサーキットの場合は、フロントの車高は極力限界ギリギリまで下げてサスペンションはサーキットの路面状態を考慮した上である程度硬くしてあげます。
しかしガッチガッチに固くするのはオススメしません!
何故かというと、路面状態が良くない凸凹が多いコースでは、マシンが跳ねてしまい挙動が乱れるからです。
他にも、せっかくダウンフォースを効率よく効かせるセッティングを施しているのに、マシンが跳ねってしまっては、マシンと地面との密着率が減少してしまい、これでは最適なグリップ力が得られないという事になりかねないからです。
ですので、サーキットの路面状態も、実際に走行してみて充分に観察した上で、最適な数値を探っていくことになります。
※必要であれば最終的に、アンチロールバーを調整して左右のタイヤのバランスを制御していきます。
例えば、アンダー傾向ならフロントのアンチロールバーを軟らかくするかリアを硬くするかになります。
フロントを軟らかくすると、フロントの荷重移動が減りリアの荷重移動はその分増える事になります。
アンチロールバー(スタビライザー)の役割とは
アンチロールバーとは、マシンがロール(傾く)する時にタイヤにかかってくる荷重が左右で違ってくるので、その荷重差を均等に制御してくれるサスペンションパーツの一種です。マシンがロールしている時だけ機能し、他では機能しないと思っても問題ないようです。
6・低速コーナーが多く追い抜きが困難なサーキットのリア車高とサスペンション設定
次に、リアですが、リアの車高もある程度段階的に下げていき、サスペンションは軟らかめに設定します。なぜ段階的に下げていくのかといいますと、下げていく段階で最もダウンフォースが最大限に発生している時の感覚を掴んで欲しいからです。
その感覚を感じ取れたのなら、そこがリアの最適な車高位置になります。これはもう何度もトライ・アンド・エラーの精神で試行錯誤していくのみになります。
次にサスペンションを軟らかく設定する理由ですが、ストレート区域での空気抵抗を少しでも減らしたいからです。
こうすることで、速度が増す毎に、リアの車高が下がっていく状態を意図的に作り出します。
ブレーキダクトとブレーキバイアスの設定
ブレーキは非常に重要な設定項目のひとつですが、ちょっとした操作ミスで、マシンの挙動が乱れますし、ブレーキング後のコーナーリングにも大きく影響してきます。
この記事では、細かく説明するのは割愛させて頂き、その理屈だけ解説してみようと思います。
ブレーキダクト
ブレーキダクトとは、ブレーキを冷却するためのダクトだなーと誰もが思いつくかと思いますが、この値をどの位に設定すれば最適なのかは筆者も把握しきれてないので正確には答えられないのですが、現状で説明できる事と言えば、サーキット形状によって変わってくるという事位でしょう。
もうひとつ述べるとすると、ブレーキを冷やせば冷やす程、空力性能が落ちていきます。おそらくですがシャシー付近で乱気流が生じて空力性能が落ちるのでしょう。
ブレーキバイアス
次に、ブレーキバイアスの設定ですが、こちらも各サーキットのコーナー形状によって数値を変えたりするので、どの数値が正しいかは答えられないのですが、一般的にはブレーキングして、リアタイヤがロックしそうな位ブレーキを強く踏み込むコーナーなどでは、(例えば下り坂の直後に急なヘアピン)があったとしましょう。
そういった場合は、後輪のロックを回避する為、バイアス値を結構な割合で前寄りに振ります。後輪がロックするくらいなら、前輪のグリップ力を最大限に活用しましょうって事ですね。
ホイールアライメントを調整していこう
アライメントって何?よくネガティブキャンバーとかポジティブキャンバーとか呼ばれるものです。これについては、沢山の方が詳しく解説されてるサイトが沢山ございますので、ここでは多少ハショッちゃいますが、簡単にいうと車軸の事ですね(キャンバー角・キャスター角・トー角)の設定があります。
このアライメント調整は、以下で説明するタイヤの性能を充分活かしきることが出来るか否かに深く関係してくるわけですが、基本フロントはトー・アウト(タイヤを上から見て逆ハの字)に設定します。
ラジコンカーを一度でも組立てた事がある方なら、この辺りは得意中の得意分野だと推測してる筆者ですが、ラジコンで得た知識を活かしてレーシングシムに挑むのもかなりの部分で有利に作用することと思います。
どうセッティングすれば速く走れるのかを彼らは知り尽くしているので、レースシムに精通する部分も、かなりの範囲で沢山あると思うのですが、偶然このサイトを訪れた方で、ラジコンをやられてる方は、是非レーシングシムにもチャレンジしてみて欲しいです。
(きっと速く走れる事と思います)
リアは、限界を極めるのならフロントとは反対に若干トー・イン側に設定します。(つけすぎ禁物)
次に、キャンバー角ですが、フロントはできるだけネガティブキャンバーに設定し、リアは若干控えめに設定します。
何故キャンバー角をつけるのかについては解説されているサイトが沢山ございますのでそちらをご覧頂ければと思います。
タイヤの性質を理解していこう
※ご説明する内容はシム側でタイヤをシミュレートされる場合を想定しています
冒頭で少しだけ触れたタイヤについてご説明していきたいと思います。なんといってもタイヤは地面と接地している唯一の部分なので、タイヤを十分理解して、その性能を最大限に引き出す事が重要になってきます。
タイヤには、コンパウンドという種類があるのはもう皆さんご存知の事と思われますが、簡単に説明すると、ゴムの硬さや軟らかさで表現されます。
レーシングシムであるrFactor2を例にとると、ウルトラソフト(超軟らかい)スーパーソフト(その次に軟らかい)ソフト(軟らかい)ミディアム(中間位)ハード(硬い)
他にも、ウェット(雨の時に履くやつです)や、Intermediate(中級)なんていうのも存在するのですが、それぞれで熱の入り方(タイヤが温まる速度)や耐久性が変わってきます。
ソフトの特徴:軟らかければグリップ性能は高く、短い時間で熱が入りますが、その分耐久性は低い。
ハードの特徴:硬ければグリップ性能は低く、熱がなかなか入りずらいが、その分耐久性は高い。
ミディアムはソフトとハードの中間ぐらいの特徴と考えてもらえればと思います。
現代のF1では硬い方から順にC1.C2.C3.C4.C5になっているようです。
他にもシムライフを楽しんでいく上で、タイヤについて知っておいた方が断然有利だと思う事を、これからご説明していきます。
タイヤの表面温度とタイヤ内部の温度の重要性を理解してみよう
予選では、なるべくグリップ効果の高い軟らかいタイヤを選択すると思うのですが、表面温度が上昇しすぎるとタイヤがオーバーヒートしてしまいます。又、タイヤ内部の温度も上昇しすぎると、ブリスターと呼ばれている現象で、タイヤ表面が窪んだり、気泡ができたりしてきます。
そうなってくると、極端にタイヤのグリップ力が低下し、全くタイムも伸びません。
実際にシム側で、どの程度シミュレートされているのかは深く考えずに、いかにタイヤの温度が重要になってくるかを理解してもらえればと思います。
内圧(空気圧)を上げるのか下げるのかを考えてみよう
路面がバンピー(デコボコ)したようなサーキットでは、タイヤの内圧が非常に重要になってきます。何故かといいますと、その凸凹によりタイヤの内部は様々な形に変形する訳です。
その後、摩擦による熱膨張でタイヤの内圧も上昇していきますが、それに伴ってタイヤ内部の温度も上昇していきます。
その結果、本来タイヤが持っている性質を最大限に活かすことができ、デコボコした路面形状と、タイヤの表面形状が路面と合致するようになってくるので、路面との密着率が向上し、そこから新たなグリップ力が発生してくる訳です。
もちろん、それぞれのサーキットで、その時の天候や気温で路面温度が左右される事になってくるので、最適な内圧値やタイヤ温度に関しては、どのくらいが最適値なのかは、実際に走行してみてインジケータに表示されるタイヤの色(緑が最適値)で判断していくようになります。
内圧は、レースシムのインジケータにもよりますが、psi表示されている部分です。
又、シム側のインジケータも様々な種類が存在しますが、タイヤ分布図の偏りを観て、判断していくようになります。
タイヤの表面温度を管理するには、アセットコルサを例にとると、インジケータに示されているOMI値の数値が均一になるように、調整を入れていきます。
(O=タイヤ外側温度・M=タイヤ中央温度・I=タイヤ内側温度)となっています。
安定走行する事ができた3LAP~5LAP後のOMI値を観察していくのですが、仮にI=内側温度が中央や外側温度より高い場合は内側に負荷がかかっていると想定できるので、キャンバー角を減らしていきます。
(例えばネガティブキャンバー角が-4.5であれば-4.3に調整する)
このように調整を入れていき、最終的にそれぞれの温度差が出来る限り均等になるようにします。(10±5℃)程度が理想でしょう。
ここで考慮しなくてはならないポイントは、殆どのF1カーはネガティブキャンバーなので、自ずとタイヤの内側温度が他よりも上昇傾向になることです。
ですので大げさな言い方をすると、それが当然でむしろ理想という事になります。
その事を踏まえた上で、中央、外側共に均等になるように調整していきます。
(タイヤ内側温度は若干他よりも高いほうが望ましい)
最後までご覧頂きありがとうございました。それと同時に大変お疲れさまでした。
最後になりますが、今回記事の執筆で検証してきたセッティングを、本来であれば公開したいのですが、今回は控えさせて頂き満足な結果が得られた時に別記事か追加で掲載していきたいと思っています。
今回試乗したマシンはMercedesAMGPetronasF1TeamのPU106C Hybridになります。
走行記録
いずれもこんな感じかなァ的な感覚で完全に煮詰めてきたわけではないので、まだまだセッティング内容によって伸びしろの余地は充分あるのではと思っています。1分20秒660はAIの記録ですが、1分20秒737は筆者が記録したファステストで、AIの記録にあとコンマ0.77秒届きませんでした。
この結果が速いのか遅いのかは別として、デフォルト時のセッティングよりは速く走れたのも事実ですし、更に煮詰めていくとするならば、ダンパーをもう少し動くようにFastbumpやSlowbump、更にはreboundの数値も調整して、タイヤと路面がより追従するようにセッティングしていけば、AI以上のタイムが見込めるのではないかと思います。
ですので、最初の内はあまり深く考えずに、多少ポジティブ思考でセッティングを進めていき、問題点などを段階的に修正していけば、きっと自分と相性の良いセッティングが必ず見つかる事と思います。
更に走り込みを継続していくと、1分20秒158が今回のセッテイングで出せた最速タイムになります。
タイヤコンパウンドは、周回を重ねる事を考慮し、比較的耐久性の高いMediumを選択しておりますが、ソフトやスーパーソフトを選択すれば、もう少し良いタイムが望めるのではないでしょうか?
それでは次回までサヨナラです。
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